アメリカ

 

~カリフォルニア州~
カリフォルニア州は、1992年に州民事訴訟法425条16項でSLAPPを目的とした訴訟の濫用を禁じる成文法を制定した。この法律では、請願権や言論の自由の範囲内の行為に対して起こされた訴訟に対して、被告が反訴を起こすための特別動議を定めている。
この成文法は、次のようにはっきりと明文化している。あらゆる議会・首長・司法機関はじめ、法律に則って行われるあらゆる公的手続きが議題としている問題に関係のある内容であれば、すべての出版物や公的発言に適用される。
一方、訴因となっている出版物や公的発言が直接公共体に向けられたものである義務はないとも定めている。
また公共の利益に関する問題であればいかなる公的空間での発言や請願、公的発言に類する行為にも適用される。
反SLAPP動議が提出されると、SLAPPを起こした原告はその請求内容の変更ができなくなり、
すべての証拠開示手続きが止まる。動議が却下された場合は、控訴手続を取れば、第一審裁判所で
争われている訴訟理由のまま手続きが即刻停止する。
反SLAPP動議(続く控訴でも同じ)を勝ち取った被告側は、弁護士費用のかなりの部分を裁定のうえ支払ってもらう権利が生じる。


カリフォルニア州民事訴訟法425条17項は、上記の反SLAPP条項の濫用を防ぐべく修正を加えた。
'03年9月6日に可決された同法では、一定の公共の利益にかかわる訴訟や集団訴訟、ある種の商業目的の行動や発言に関する問題について、反SLAPP動議を使うことを禁じた。
'05年10月6日に可決された425条18項は、SLAPPの被害者に、SLAPP訴訟が棄却されたあと、
相手方とその弁護士を反訴(SLAPP back)して損害を回復できるよう手続きを定めた。

 

~他の州など~
カリフォルニアの他には、少なくとも24の州と1自治区がSLAPPから被害者を守る法的制度を設けている。
アーカンソー、デラウエア、フロリダ、ジョージア、グアム(自治区)、ハワイ、インディアナルイジアナ、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ミズーリ、ネブラスカ、ネバダ、ニューメキシコ、ニューヨーク、オクラホマ、オレゴン、ペンシルバニア、ロード・アイランド、テネシー、ユタ、ワシン トン、ウエスト・バージニアの各州である(アルファベット順)

 

~連邦政府~
アメリカ合衆国連邦法にSLAPPに関する成文法に相当するものはない。
もっとも近い法的救済措置としては、反トラスト連邦法における「ノエル・ペニントン・ドクトリン」であろう。
キャナン・プリング両教授によれば、こうした状況が生まれた原因は、州法と連邦法で民事提訴の手続きが異なることである。
カリフォルニアをはじめほとんどの州では、民事提訴の手続きが法的に定められ、請求内容は事実に基づいた主張・論点を持ち、できるかぎり明確でなければならないことになっている。
こうすることで、提訴する前にすでに自らの提訴がしっかりとした事実に基づいていることを証明する重荷を原告が負うので、反SLAPP動議が正当な訴訟を排除してしまうリスクを減らすことができるのだ。
反対に連邦民事訴訟法では、提訴をしてその後から根拠となる事実を開示すればいいことになっているため、請求内容は「短く簡潔でいい」とされる

 

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